緑ヶ丘美術館開館5周年記念展 - 染付 本多亜弥「藍陶陶」

染付 本多亜弥

やわらかく、瑞々しく。新たな藍の世界が花開く。

透き通るような⽩磁に、花弁がやわらかく浮かび上がる。彫りの陰影と表情豊かな藍のグラデーションが麗しく調和する。藍色と灰⾊、そして緑、それだけで植物の鮮やかな⾊彩まで感じさせる。⽣まれ故郷である奈良の地で、陶芸家・本多亜弥はモダンなデザインに加えて技法や⾊の開発に挑み、「染付」の美しい藍の世界に、独⾃の新しい⾵を吹き込んできた。
陶陶(ようよう)とは「和らぎ、楽しむ」。その⾔葉通り、本多は「染付」の伝統と未来を颯爽と牽引していく作家なのだろう。
伝統⼯芸の魅⼒を多くの⽅々に伝え未来へ継承する、緑ヶ丘美術館開館5周年の節⽬にお届けする展覧会。ぜひご高覧ください。

藍陶陶

芸術の原風景と出逢う緑ヶ丘美術館 開館5周年記念展染付 本多亜弥「藍陶陶」

緑ヶ丘美術館 開館5周年を記念して

2017年7月、奈良・生駒の地に緑ヶ丘美術館を開館いたしました。当美術館は芸術作品を鑑賞するだけでなく、作品や作家と心を通わせながら、気持ちが安らぐひとときを過ごしていただきたいとの想いから設立したものです。以来、この5年間で多くの作品展を開催することができ、ご来館いただいた多くの方々に日本の伝統工芸の第一線でご活躍されている作家の先生と、その作品の数々をご紹介することができました。これもひとえに、作家の先生方をはじめ芸術を愛する方々のおかげと、心より御礼申し上げます。
2020年以降、新型コロナウイルスの感染拡大により、日々の生活、社会活動の自粛を余儀なくされました。多くのイベントや行事が中止となり、芸術作品展なども例外ではありません。しかし本来、人々が不安を抱えている状況の中でこそ、芸術には心の安らぎ、潤いとなるべき役割があると思います。当美術館もやむを得ず臨時休館に至るなど、美術館の運営について慎重に検討を重ね、感染拡大防止を徹底しながら、皆様に心安らげるひとときをお届けしようと努めてまいりました。
これからも、ここ奈良・生駒の地で、日本の伝統工芸という素晴らしい財産を未来へ繋ぎ、一人でも多くの方にその魅力をお伝えしていきたい。このコロナ禍という苦境の時代に遭遇したことで、改めてその想いを強く持ち、新たな試みにも取り組んでまいりたいと決心いたしました。

地元・奈良で活躍する染付作家、本多亜弥先生

その新たな第一歩と言える開館5周年の記念すべき作品展は、染付 本多亜弥「藍陶陶」です。本多亜弥先生は2021年秋に当美術館別館で開催いたしました「まほろば陶《万葉の里・麗しの陶》奈良・四人展」にもご登場いただいた染付作家です。奈良・天理に工房を構え、意欲的に作品づくりを続けておられ、現在最も目が離せない陶芸家のお一人と言えます。
本多先生は奈良・天理で生まれ育ち、愛知県立芸術大学で陶芸・瀬戸染付を学ばれ、在学中に日本伝統工芸展入選、東海伝統工芸展 最高賞を受賞されるなど、早くから頭角を現しておられました。大学院修了後に奈良・天理に戻り染付作家として独立されてからも数々の輝かしい賞歴を重ねられ、2019年には若くして日本伝統工芸近畿展第一次鑑査委員にも名を連ねるなど、陶芸作家の高みへ続く道を着実に歩んでこられています。
染付は、中国・元の時代に景徳鎮で本格的な生産がはじまり、その青と白の麗しいコントラストが世界中のファンから愛されている焼きものです。日本では江戸初期頃に有田で生産がはじまり、独自の発展を遂げながら伝統工芸として今日まで受け継がれ、進化を続けてきました。本多先生は伝統的な技法とともに、独自の彫りの技法や色を開発し、オリジナルの「染付」へと昇華されています。自ら成形した美しい器に、現代性を纏った絵画的なデザインと奥深い藍のグラデーションが調和する気品あふれる作品は、伝統工芸である染付の一つの進化の姿と言えるのではないでしょうか。
本多先生は間違いなく、これからの奈良、そして日本の伝統工芸を代表する作家となられることを確信いたしております。今回は、2021年の日本伝統工芸近畿展第50回記念優秀賞受賞作品をはじめ、今回の作品展のために制作いただいた新作、今年の日本伝統工芸近畿展出品作品などが一堂に会する貴重な機会です。ぜひご高覧ください。

緑ヶ丘美術館 館長 菅野一夫

  • images染付彫深鉢 針槐
    H21.8 × Φ43.7cm
  • images染付彫鉢 つゆのはな
    H17.6 × Φ46.7cm
  • images染付彫鉢 艶葉蕗
    H13.0 × Φ50.0cm
  • images染付椿文深鉢
    H18.8 × Φ32.6cm
  • images染付楕円鉢 四君子
    H13.9 × W52.7 × D44.8cm
  • imagesひとひら 深吉野ー白ー
    H3.0 × W19.0 × D17.0cm 5枚組
  • images振出

染付 本多亜弥(ほんだあや)心を澄ませ、想いに向き合う。

自らロクロを挽き成形する本多の器は、優美でありながら軽やかな佇まいだ。丸みをカットしたりそれぞれの辺の長さを変えたりと、「こうしたら面白そう」と自由に発想しながら、滑らかで端正な形状に動きを出していく。高い成形技術とその遊び心が器に独特の存在感を与えている。
そうして生まれた器体に、和の植物が巧みな構図で配置され調和する。ときには蔓の動きに焦点を当て、ときには花の力強さを際立たせ、ときには花と葉が重なり合う奥行きの妙を描く。具象で描かれた花に、直線で描く抽象の葉を組み合わせるなど、表現の変化にも挑んでいる。
本多が器に描くのは、絵付けの植物だけではない。自分らしい表現を追求するなかで、「幼い頃に楽しかった」というレリーフを取り入れ、生み出した技法「染付彫」。葉脈の削りや、花弁や葉を滑らかに彫り上げ、そこにわずかに呉須を擦り込むことで、磁肌と微妙に異なる白い陰影がやわらかく浮き上がり、藍を引き立たせる。
そして、繊細で麗しい表現力に富んだ藍のグラデーション。数種類の青と灰色は、芸大時代から呉須の調合・実験を繰り返し、研究を重ねてきた。野葡萄や青紅葉などを描く際は、そこに独自に開発した緑も加わる。青、灰色、緑の3色の藍だけで、見る人によって植物の多彩な色を想起させるのだ。
絵付けはまず、濃筆(だみふで)にたっぷりの絵の具(呉須)を含ませ、絞り、絵の具の水滴を器に落とす。筆先で絵の具を転がすように動かしながら、器の角度を巧みに調整し、絵の具を溜める。絞っていた指を離すと、筆が余分な水分を吸い取り、絵の具が素地に落ち着く。その上に、さらに別の絵の具を重ねることもあり、色や表情の多彩なバリエーションを生み出している。

  • 染付彫深鉢 針槐
  • 染付彫深鉢 山帰来

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<数量限定>一筆箋 30枚綴り 2種
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各 500円


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<数量限定>レターセット 封筒3枚・便箋10枚組 3種
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各 1,000円