緑ヶ丘美術館・本館
緑ヶ丘美術館・別館
モチーフに選んだ立葵は、花が咲ききると梅雨が明けると言われる、元気な花。上に向かってどんどん咲いていくイメージから、コロナ禍で俯きがちな人たちを元気づけたいという思いもあった。赤絵の細描きは少なくして、近年では使わなかった、九谷伝統の「和絵の具」を使用した。時間をかけ、納得いくまで何度も色目を実験した結果、赤も背景の空間も一体となって素敵な色合いを表現でき、「福島武山といえば赤絵」のイメージを良い意味で裏切る、爽やかな作品に仕上がった。福島武山
前回2018年10月14日から12月23日まで催しました、「次元を辿る赤の小宇宙」福島武山展では、作陶50年の歴史として武山先生の日本伝統工芸展初入選作品から集大成としての大皿、「七福神面取鉢」(緑ヶ丘美術館所蔵)までを一堂に展示し、関係各位はもとよりご来館の皆様にも大変ご好評をいただきました。
美術館が制作いたしました図録や一筆箋は完売し、ご来館時にお渡しさせて頂きました「福島武山展カレンダー」も全て完配いたしました。武山先生のお人柄もあってご来館者数も特に多く、賑やかな展覧会でした。
今回の「喜びの色・・・・・赤」九谷赤絵細描 福島武山では、武山先生の喜寿のお祝いとして企画し、併せて先生の作品集出版のお話をお伺いし、ぜひ当美術館で記念となる展覧会を開催させて欲しいとお願いいたしました。先生は快くお引き受けくださり、それならばと緑ヶ丘美術館所蔵のコレクションを中心に、本来では目にすることのできない先生の若い頃の作品や、日本伝統工芸展(本展)の選外となった作品もご覧いただけます。この作品は緑ヶ丘美術館の「宝」になりました。
作品の素晴らしさを評価できなかった審査側には疑問を抱きますが、選外により展示公開を免れた事で全く目にすることができないお宝の作品をご来館の皆様にご覧いただけるのは、美術館冥利に尽きます。また、77歳とご自身でも年齢を感じておられるにもかかわらず、休む暇もない先生に無理難題を突き付け、今回の展覧会の為に、新作2点の制作をお願いしました。
素晴らしい素地に絵付けの柄を考えていただき、喜寿を迎えられた先生の新たな挑戦が始まりました。
人生の岐路にチャレンジはつきものです。生意気にも「赤で埋め尽くす事なく、赤を感じて欲しい」と、白場を考慮した構図をお願いしました。皆様に喜んでいただき、素晴らしい作品を見る事が出来る感謝の意を先生にお伝えしたいと思います。
今後も傘寿、米寿とお祝いが出来ます事を願っております。
令和4年4月 緑ヶ丘美術館 館長 菅野一夫
【九谷 赤絵細描の伝道師 作陶50年の集大成】
福島武山作品集「赤の極み」
販売価格
1冊 3,960円