「風と水と月」井上楊彩 人形展

風や水、月のように人に寄り添う
しなやかで美しい人形たち

胡粉を重ねて仕上げたなめらかな白い肌、楚々として優美な人形たち。
ある者は空をゆく自由な風を身にまとい、ある者は流れる水のように瑞々しく、
ある者は輝く月の如きやわらかな神秘性を帯び……。
井上楊彩がつくる人形は、見る人を惹きつけてやまぬ魅力を持っている。
美しく静かな面立ちの人形からあふれ出る、人を深く思いやる人間愛。
作家本人の胸に去来する思いが人形へ託され、見る者の心に届いていく。
その表現を可能にするものは、芯にある思いの強さと、
衣裳人形の重要無形文化財保持者(人間国宝)であった故・秋山信子氏に
師事し鍛え上げられた工芸家としての確かな技術に他ならない。
たおやかさと風折れせぬ柳のようなしなやかさが響き合う
美しい人形の世界を、どうぞご高覧ください。

[撮影場所:日本聖公会八木基督教会(奈良県有形文化財)]

展覧会を行うにあたり、写真や映像の撮影を、井上楊彩氏ゆかりの教会で行いました。1936(昭和11)年に建てられた会堂は、和式建築の要素と教会建築らしさが共存する美しい建物です。教会ならではの神聖かつやわらかな雰囲気と、そこに佇む人形の存在感を併せてお楽しみください。

  • 木芯桐塑胡粉漆塗「雲に乗って」
    (台/宮本貞治)

  • 木芯桐塑和紙貼「灯」

  • 木芯桐塑和紙押し花貼「あすか万葉」

  • 木芯桐塑胡粉漆塗「この道」

  • images木芯桐塑和紙貼「渓流」(台/宮本貞治)2016年 H32.0cm
    第63回日本伝統工芸展 入選/奈良県美術展覧会 審査員出品
  • images木芯桐塑布貼「あゆの風」(台/宮本貞治)2017年 H39.0cm
    第64回日本伝統工芸展 入選
  • images木芯桐塑胡粉漆塗「大和まほろば」2018年 H24.0cm
    第47回日本伝統工芸近畿展 入選
  • images木芯桐塑和紙押し花貼「あすか万葉」2019年 H33.0cm
    第65回全関西美術展 無鑑査出品 読売新聞社賞 受賞
  • images木芯桐塑胡粉彩色「命をつなぐ実デーツ」(台/宮本貞治)2020年 H38.0cm
    第30回伝統工芸人形展 入選
  • images木芯桐塑胡粉漆塗「歩」2021年 H41.0cm
    第68回日本伝統工芸展 鑑査委員出品 入選
  • images木芯桐塑胡粉漆塗「雲に乗って」(台/宮本貞治)2024年 H40.0cm
    第71回日本伝統工芸展 鑑査委員出品 入選

芸術の原風景と出会う「風と水と月」
井上楊彩 人形展

胡粉で仕上げたなめらかな白い肌と、スッキリとした上品な面立ちを持つ、風のように自由で水のように清浄で、月のように神秘的な女性たち。井上楊彩先生が生み出す人形は、楚々として優美な佇まいと確かな技術力に裏打ちされたバランスの良さが魅力です。たおやかなだけでなく風折れせぬ柳のようなしなやかさを感じさせるその姿は、見る者の心を惹きつけてやみません。

実は井上楊彩先生は、最初から人形づくりの世界を志しておられたというわけではありません。学生時代にはオペラ歌手を目指し、音楽の道に進まれましたが、その道は志半ばにて断念。その後、奈良・橿原の地へと住まいを移し、偶然の導きで人形づくりの世界に巡り合われました。当初はクレイによる洋風の作品をつくっておられましたが、一念発起し、日本の伝統的技法を用いた人形づくりに本格的に取り組むことになります。その時に師事されたのが、衣裳人形の重要無形文化財保持者(人間国宝)であった秋山信子氏です。当時の秋山氏は非常にストイックかつ厳格であったそうで、その厳しい指導は、工芸家としての「井上楊彩」を技術面・精神面双方から鍛え上げることとなりました。

伝統工芸に邁進されるのと時を同じくして、現在のお住まい(工房)のすぐ近くにある教会へと通うようになり、キリスト教に入信。人形づくりの傍ら、教会でオルガンを演奏したり、奉仕活動を行ったりされたことが自らの世界を広げることに。自ずと作品制作にも影響することになったようです。

洗練された美しさと、人間愛にあふれるやわらかな空気感。まるで井上楊彩先生その人を表すかのような人形の数々を、どうぞご高覧ください。

緑ヶ丘美術館 館⻑ 菅野⼀夫

ショッピング案内shopping

緑ヶ丘美術館でのみの限定販売となります

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<数量限定>一筆箋 30枚綴り 2種
販売価格
各 500円


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<数量限定>レターセット 封筒3枚・便箋10枚組 3種
販売価格
各 1,000円