現代陶芸界を牽引する備前陶芸作家「隠﨑 隆一 花器展」

この度の緑ヶ丘美術館・本館の丹波【市野雅彦 展】と
緑ヶ丘美術館・別館の備前【隠﨑隆一 花器 展】は
6月20日(日)をもって終了いたしました。
両展覧会も、新型コロナウイルス感染拡大防止を最優先としまして、
入館時の体温計測や、ご連絡先確認のための入館カード記入など、ご来館者の皆様には
引き続きまして感染拡大防止にご協力いただきありがとうございました。
お蔭さまをもちまして、ご来館者様及び当美術館関係者におきましては未だ感染者の発生も
報告されておらず、無事に両展覧会が終えられましたことを嬉しく思っております。
6月21日(月)~7月10日(土)までは次回作品展準備のため休館とさせていただきます。
次回の展覧会は7月11日(日)~9月5日(日)まで九谷染付け【理節 展】を緑ヶ丘美術館・本館で、
萩の新潮【岡田 泰 展】を緑ヶ丘美術館・別館で開催いたします。
ご来館者の皆様には引き続き新型コロナウイルス感染拡大防止にご協力いただきまして、
次回の展覧会も皆様のご来館をお待ちしております。

緑ヶ丘美術館・本館
緑ヶ丘美術館・別館

土の声を聴き、なるべき形へと導く

隠﨑の作品は「土」にある。
備前では「田土」「山土」が陶土として使われてきたが、
隠﨑が使う土は「混淆土(こんこうど) -Una Mistura- 」
田土を採る際に捨てられる屑土など約30種類の土を
ブレンドした陶土が作品になる。
研究を重ね完成した混淆土の作品は、備前の新しい可能性を
土が語りかけているようだ。
土と対話し続け、陶芸の未来へと繋げていく。

  • images備前
    花器混淆土
  • images備前
    花器
  • images備前
    手付花器
  • images備前
    角花器
  • images備前
    三足花器
  • images備前
    扁壺
  • images備前
    手付花器
  • images備前
    扁壺


備前花器混淆土

<Una Mistura>とは、イタリア語で混淆土を意味する。
隠﨑は、備前で屑土と呼ばれた混淆土の成形と焼成に成功。
10年以上の歳月をかけ、焼き物には不向きと思われていた超難解土を制覇。
数々の陶土、泥蔣、技法を研究し、試作と失敗を乗り越え、独自の技術を開発。
ついに、知られざる混淆土の素肌と焼き色が顔を出した。
「屑土」って何だ。陶芸家にとって土は命。
屑の土なんてあるはずがない。
自分が手をかけて成形したものが、思い通りに完成しなければ、それは、自分が未熟なだけ。
土は、土のままで良かったのだ。
屑にしないために、土と語り、次につなげなくては申し訳ない。


備前手付花器

隠﨑隆一にとっての作陶は、土に触れ、水を感じ、火と戯れる。
たったそれだけのコト。
特別なことをしようとも考えないし、またしない。
なぜなら、その時々に感じたことや思いをカタチにしているだけだから。
たかだか人間が考えたことなんて、宇宙の創造物と比べると比較にならないほど稚拙なものである。
私がいくら頑張ってみても、土も水も火も・・・何一つ創りだすことはできない。
全て自然から戴いたもので遊ばせていただいている。
私の作品は、土塊(つちくれ)と遊んだ私の心の記録であり、時間とともに幾重にも変化してきた。
自然の摂理に従順であること、自分の魂(たましい)に従順であること。
これが私に与えられた使命であり、仕えることなのだ。

今回は隠﨑隆一の「花器」を展示致します。
土に触れ、水を感じ、火と戯れ、花を慈しむ。
土と語り生み出された「混淆土(Una Mistura)」の
「花器」を是非ご高覧ください。