(左)田村星都【細字古今集賀歌宝舟】
(中)南絢子【たからふね】
(右)浅蔵一華【華小紋宝船】
能登半島地震により、北陸の誇る数々の伝統工芸も甚大な被害を受けました。
その一つ、九谷焼の次代を担う作家たちにとって、この度の展覧会は再生と復興に臨む特別な場となります。
先人たちが守り続けてきた灯を引き継ぐ者として。
親から子へ伝わる技法、産地の想いを背負い、ここから新たな九谷を創造していく7名の作家。
九谷独特の深みのある色彩や超絶技巧の加飾など、卓越した美を手本としながら、さらなる革新へ挑み、引き継いだものが現代を彩る美として脈々と生き続けます。
人の心を繋ぎ、前に進む希望の灯となる。
その伝統工芸のチカラを信じ、九谷の再生・復興へ、新たな一歩を踏み出す作陶展をご高覧ください。
令和6年1月に発生しました能登半島地震により犠牲となられた方々に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。
能登地方を震源とした大規模な地震により、北陸地方は甚大な被害を受け、新年の祝賀ムードに包まれていた日本中に衝撃が走りました。その爪痕により、今なお日常の戻らない方々の状況に心を痛めますとともに、地域が紡いできた伝統や文化のつながりが失われてしまうことを危惧しております。この地震で、北陸の誇る数々の伝統工芸も大打撃を受け、珠洲焼の産地でも工房の倒壊や作品の破損など、物的・人的な被害が出ました。
この日本の歴史に刻まれる災害が起きた年に、九谷焼の継承をテーマとした展覧会を開催することは、作家の皆様にとっても、当美術館にとっても、特別な意味を持つものと解します。甚大な被害を乗り越え、産地の想いを背負いながら再生・復興のため作陶に臨まれる作家の皆様を、私たちは全力で応援する所存です。
色絵磁器で知られる九谷焼はおよそ370年前に開窯しましたが、わずか50年ほどで一度窯を閉じ、その50年の間に作られたものを「古九谷」と呼びます。それからおよそ100年後に「再興九谷」が始まり、九谷焼は復活を果たしました。以来、現在に至るまで実にさまざまな表現技法が生み出されてきました。⻑い歳月をかけて極めた技が師から次の世代へと引き継がれ、常にその時代を生きる継承者自身の感性が加わりながら、九谷の新たな表現として進化してきたのです。
それがひときわ色濃く伝わるのが、親から子への継承なのかもしれません。今回は、一時代を築いた名工を親に持ち、家業への重圧に向き合いながら、自身の表現を追求してきた7名の作家にご登場いただきます。また、それぞれのコレクションに加え、共通のテーマによる新作として、置物素地製陶の一大生産地として栄えた小松市で大正3年(1914)の創業以来、100年以上にわたり素地づくりの伝統と技を継承する「宮創(みやそう)製陶所」の素地に絵付けをしていただきました。近年は、より作品の独自性を追い求めて成形から自身で行う作家も増えてきましたが、早くから分業制が確立され、各工程それぞれの職人たちが技と心を受け継いできたことも、九谷という産地の誇りです。素地造りの職人技と作家の共演にもぜひご注目ください。
伝統工芸は人の心を癒やし、未来へ踏みだす糧となるものであると信じています。九谷焼はもとより、珠洲焼・輪島塗の再生・復興に覚悟を持って臨まれる作家の作品を通して、北陸の伝統工芸の素晴らしさを感じていただくとともに、地域の復興へ想いをつないでいただける場となれば幸甚です。
緑ヶ丘美術館 館⻑ 菅野⼀夫
緑ヶ丘美術館でのみの限定販売となります
<数量限定>一筆箋 30枚綴り 2種
販売価格
各 500円
<数量限定>レターセット 封筒3枚・便箋10枚組 3種
販売価格
各 1,000円