緑ヶ丘美術館 オーナー・館長
創作物に完成はないという。
用の美は、使われし者に出会いて初めてその使命たる命を輝かせる。
茶の湯の心、日本人の精神世界を形に映す抹茶碗と棗。
精神世界を振る舞う「日本の美」侘びと寂び、そして粋。
何かが心に染みわたる・・・・。
茶席には、掛軸、花入に茶花が飾られ、お茶を点てるためには数多くの道具が使われる。
香炉、香合、棗、抹茶碗、菓子・・・・、数えきれないほどの道具と扱いの所作がある。
すべては大切な客人をもてなすためのもの。茶の湯の道を数寄という。数寄は、数を寄する也。
粋な茶人が洒脱な茶道具を持つのも茶道の美。
緑ヶ丘美術館の「抹茶碗と棗展」。名工たちが作品に託した心と茶人の粋をご鑑賞くださいませ。
菅野一夫 緑ヶ丘美術館オーナー
緑ヶ丘美術館が所蔵する陶芸、漆芸作品の中から、この度は「茶道具」の抹茶碗と棗を展示いたします。
お茶は中国から渡来し、鎌倉時代に禅宗とともに広まったといわれています。そして室町時代に村田珠光が日本製の茶道具を用い、亭主と客人との精神交流を重んじる「わび茶」を成立させ、茶室や茶道具も精神性を尊ぶ質素なものが尊重され体型化されてきました。
その後、その精神は堺の豪商で茶人の武野紹鴎(たけのじょうおう)に受け継がれ、和歌を学び、文化と茶道が融合し、茶道は芸術的な日本文化に昇華するに至ったといわれています。そして、その弟子の千利休が、安土桃山時代に、「わび茶」を完成させ、それが今日の「茶道」・「茶の湯」の礎となっているといわれています。利休が説いた「術は紹鴎、道は珠光より」の言葉は、茶の湯の変遷を知るのに興味深いです。
「侘び」と「寂び」、この抽象的で意味深い概念は、知るというより感じることの大切さを現しています。「茶の湯」で利休が成し遂げたかった究極の美の世界観とは何か。それは心から「もてなす」の美学の追求だったのではないでしょうか。
客人を迎えるための庭、花、茶室、掛け軸、茶の作法、器、菓子‥‥など、その日、その時の一瞬一瞬を心地よい空気で纏う。私たち日本人が意識することなく心地よいと感じる時には、先人の茶の湯の美意識が伝えてくれた「気」の創造があればこそだと思います。
抹茶碗は、茶の湯を追求した陶芸の名工たちの作品が並びます。利休の精神を表現する工夫された焼きや釉薬、選び抜かれた土、器の形など、作品を見るほどに味わいの深さを感じます。それぞれに先人が極めてきた技が、心が、伝わる思いです。緑ヶ丘美術館では実際に手に取って、その手触り、重さ、風景を体感していただけます。
棗もまた茶席を彩り、客人を粋にもてなす逸品です。この度は、漆芸の名工の作品を披露いたします。木地に何層にも塗り重ねられ光沢を放つ漆に金や螺鈿、沈金などで描かれた季節の風景が絶妙です。千年を越えて受け継がれてきた茶の湯の世界が蘇ります。常に自然とともに在る日本人の高度な感性をご覧いただけます。どうぞごゆっくりと芸術の魅力、本物を味わう喜びを感じていただければ幸甚です。
緑ヶ丘美術館では、この度の展覧会のために「茶人の心を奪う名工の抹茶碗と棗」と題した映像を制作・上映しております。
茶の湯の世界を知っていただくために製作しました。茶道裏千家教授 福井宗邦 氏のお点前を、ほんの一部ですがクローズアップしました。心さわやかなひと時をご鑑賞いただければ幸いです。今まで気付かなかった茶の湯の魅力に出逢っていただけると思います。
ここでしか手に入らない緑ヶ丘美術館でのみの限定販売となります
販売価格1冊 2,000円
販売価格1冊 300円
緑ヶ丘美術館が所蔵の作家によるお茶碗で、
お菓子とともに「お抹茶セット」をお楽しみいただけます。
受付にお申し出下さい。(一日20名様限定)
一服500円