緑ヶ丘美術館・本館
緑ヶ丘美術館・別館
古九谷に魅せられ陶芸を志した、美山富。
九谷五彩を独自の美しい色彩へと昇華させ、心象風景を絵画のように描く。
多彩な技法に加え、理想の色への妥協なき追求心で瑞々しい感性に満ちた作品を世に問い続け、2001年には女性初の九谷焼伝統工芸士となる。
今回は日展初出品の作品をはじめ、本展のために思い出深い一品の再現に挑んだ新作まで、半世紀に及ぶ貴重な「作陶の記憶」を展示。
九谷焼の歴史に刻む華麗なる足跡をご高覧ください。
美山富氏の作品において多くの素地を手がけた、陶芸作家でご子息の故・美山直樹氏の作品も併せて展示します。
響宴 | 美山直樹
<作:2005年>
風の花
<作:2007年>
さわやかな初夏
<作:1995年>
圧倒的な色彩の美しさ。絵画のような意匠。心に浮かぶ景色が描かれた作品からは、作家のエネルギーが溢れ出してくるかのようです。
美山富先生は九谷焼の産地、石川県小松市で生まれ育ち、陶芸の世界に身を投じると九谷焼女性作家の先駆けとなりました。その50年にわたる活動の軌跡を振り返る「作陶の記憶 彩々に魅せられて 美山富展」を開催いたします。数々の輝かしい功績もさることながら、九谷焼の歴史とともに歩まれた先生の作陶、そして語られる言葉は、次代に伝承していくべき非常に貴重なものです。
2020年秋、当美術館では三代 浅蔵五十吉展を開催いたしました。美山先生は、その浅蔵先生の父である故・二代 浅蔵五十吉先生の門下生です。二代 浅蔵五十吉先生は言わずと知れた九谷焼を代表する陶芸家であり、我が国の芸術文化に多大な貢献をされた名工です。美山先生もまたその偉大な師の影響を色濃く受け継いでおられます。伝統の九谷五彩を独自の色彩感覚で展開・表現され、何より、決して現状にとどまらず挑戦を続けるバイタリティと、理想の色を追い求める情熱はまさに師譲りと言えるのではないでしょうか。作陶半世紀を超えた今なお、斬新なアイデアで作品を生み出しておられ、その柔軟な発想力と瑞々しい感性には驚きを禁じ得ません。
今回、節目となる作品展を開催するにあたり、私は美山先生にかつてのある作品の「再現」をお願いいたしました。私が見事な色合いに心打たれたその器は、美山先生のキャリアにおいても重要な作品でありましたが、残念なことに破損していました。その再現に挑んでいただいたのですが、使用するのは、ろくろ師・陶芸家であった御子息の美山直樹氏が遺された素地です。母の背を追い陶芸の道を歩み、着実にキャリアを重ね活躍されていた最中にご逝去された直樹氏。今回の作品展では美山直樹氏の作品も併せて展示しております。
ぜひ、再現作品に込められた母子の絆にもご注目いただきながら、会場を満たす造形と色彩の美を心ゆくまでお楽しみください。
緑ヶ丘美術館 館長 菅野一夫
緑ヶ丘美術館でのみの限定販売となります
<数量限定>一筆箋 30枚綴り 2種
販売価格
各 500円
<数量限定>レターセット 封筒3枚・便箋10枚組 3種
販売価格
各 1,000円