茶の湯の新しい風景へ「現在ノ茶陶 水指ト茶碗テン15」茶の湯の新しい風景へ「現在ノ茶陶 水指ト茶碗テン15」

この度の緑ヶ丘美術館・本館の【岸本圭司 漆芸展】と
緑ヶ丘美術館・別館の【水指ト茶碗テン15】は
3月13日(日)をもって終了いたしました。
両展覧会も、新型コロナウイルス感染拡大防止を最優先としまして、
入館時の検温や、ご連絡先確認のための入館カード記入など、ご来館者の皆様には
引き続きまして感染拡大防止にご協力いただき、ありがとうございました。
お蔭さまをもちまして、ご来館者様及び当美術館関係者におきましては未だ感染者の発生も
報告されておらず、無事に両展覧会が終えられましたことを嬉しく思っております。
3月14日(月)~4月16日(土)までは次回作品展準備のため休館とさせていただきます。
次回は4月17日(日)~6月26日(日)まで【柴田有希佳 作陶展】を緑ヶ丘美術館・本館で、
【九谷赤絵細描 福島武山】を緑ヶ丘美術館・別館で開催いたします。

新型コロナウイルスの蔓延から既に2年が経過しておりますが、
一日も早く感染の終息を迎えられますよう
ご来館の際には引き続き感染防止にご協力いただきまして、
皆様のご来館をお待ちしております。

緑ヶ丘美術館・本館
緑ヶ丘美術館・別館

YASUDA Naoko

茶の湯の新しい⾵景へ

茶の湯。それは⼈と⼈をつなぐ、もてなしの美。
その美しい⽇本の⼼を映し出す道具が、茶陶である。
古今の陶芸家たちが、古典を仰ぎ、未知の扉を開き、
理想の茶陶を探究しながら、作陶に挑んできた。
そして、新たな時代を迎えた今、
現在の15名の作家による茶陶が⼀堂に会する。
⼟を⽣かし、やきものの根源的な⽣命⼒を引き出す造形や、
伝統の技法に、斬新な感性と表現を纏わせたアートなど。
各々の道があり、問いがあり、答えはみな違う。
この多様性こそ、新しい茶の湯の⾵景そのものではないだろうか。
茶陶の未来が⽣まれる瞬間を、ぜひご高覧ください。

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  • images市川 透
    水指: Liberalism-水指/茶碗: Liberalism-茶盌
  • images市野 雅彦
    水指: 丹波赤ドベ水指/茶碗: 丹波埦
  • images伊藤 栄傑
    水指: 無名異縹釉水指/茶碗: 無名異縹釉茶盌
  • images今西 公彦
    水指: 黒丹波水指/茶碗: 黒丹波茶盌
  • images大岩 智之
    水指: 混淆備前水指/茶碗: 混淆備前埦
  • images隠﨑隆一
    水指: 備前混淆白泥水指/茶碗: 備前混淆白泥埦
  • images金本 卓也
    水指: 大和織部水指/茶碗: 大和織部茶盌
  • images川戸 圭介
    水指: 白磁水指 錐/茶碗: 白磁抹茶盌 錐
  • images澤谷 由子
    水指: 露紡水指/茶碗: 露絲纏茶碗
  • images篠原 希
    水指: 信楽焼締水指/茶碗: 信楽引出茶碗
  • images高橋 朋子
    水指: 金銀彩水指 皓月/茶碗: 金銀彩盌 游ぐ月
  • images本多 亜弥
    水指: 染付水指 野葡萄/茶碗: 染付碗 野葡萄
  • images前田 正博
    水指: 色絵銀彩水指/茶碗: 小色茶盌
  • images安田 直子
    水指: 金魚文水指/茶碗: 金魚文茶盌
  • images米田 和
    水指: 彩釉黒絵沢瀉文水指/茶碗: 彩釉黒絵鳥文茶碗

芸術の原風景と出逢う

現在ノ茶陶 水指ト茶碗テン15

新年あけましておめでとうございます。
新春1回目の展覧会は、「現在ノ茶陶 水指ト茶碗テン15」で幕を開けます。
「現代」ではなく「現在」と銘打つことで、「今という瞬間」にフォーカスした今回の展覧会。
当緑ヶ丘美術館所蔵の水指・茶碗の中から、「今ここに在る存在理由は何か」を考えていこうと思います。
一期一会の精神で心を通わす茶の湯は、亭主が茶陶に自身を映し出し、客人は茶陶を通じてそれを感じとる場と言えます。ここに集う15名の作家は各々にその美意識を、水指と茶碗を介して表現し、想いを造形に移しました。
備前や丹波など、やきものの里で土とともに伝統と革新に挑んだ作品。釉薬を突き詰め、炎と格闘し、窯から現れる器に
理想の景色を追い求めた作品。斬新な技巧を凝らした文様やモチーフに、自らの感性や世界観を投影した作品。
作陶地や技法、考え方も異なる15名の作家がそれぞれの現在を表現した茶陶は、従来の茶の湯の概念にも縛られず、だからこそ私たちと自由につながることができるのではないでしょうか。
作家の想いと皆様の心が通うことで、今を生きる自身を見つめるきっかけとなり、そこから多様な未来が生まれていく。
そんな「茶の湯の新しい風景」を、この会場で体感していただければ幸甚です。

令和4年1月 緑ヶ丘美術館 館長 菅野一夫