萩・岡田窯 岡田 泰 展Yasushi Okada

2021711日(日)〜95日(日)まで

この度の緑ヶ丘美術館・本館の九谷染付け【理節 展】と
緑ヶ丘美術館・別館の萩の新潮【岡田 泰 展】は
9月5日(日)をもって終了いたしました。
両展覧会も、新型コロナウイルス感染拡大防止を最優先としまして、
入館時の体温計測や、ご連絡先確認のための入館カード記入など、ご来館者の皆様には
引き続きまして感染拡大防止にご協力いただき、ありがとうございました。
お蔭さまをもちまして、ご来館者様及び当美術館関係者におきましては未だ感染者の発生も
報告されておらず、無事に両展覧会が終えられましたことを嬉しく思っております。
9月6日(月)~9月25日(土)までは次回作品展準備のため休館とさせていただきます。
次回の展覧会は9月26日(日)~12月26日(日)まで【米田和作品集出版記念展】を緑ヶ丘美術館・本館で、
【まほろば陶 奈良・四人展】を緑ヶ丘美術館・別館で開催いたします。

一日も早く新型コロナウイルス感染の終息を迎えられますよう
ご来館の際には引き続き新型コロナウイルス感染拡大防止にご協力いただきまして、
次回の展覧会も皆様のご来館をお待ちしております。

緑ヶ丘美術館・本館
緑ヶ丘美術館・別館

「萩の新潮」

萩焼、伝統から革新へ「淡青釉たんせいゆう」岡田泰の世界

古来より茶人の間で「萩の七化け」と賞され、数ある茶陶の中でも、
その土味、素地の景色、釉の上品さが深く愛されてきた「萩焼」。
以来、今日までこの伝統は400年以上の歴史とともに受け継がれ、今も厳然たる地位を確保している。
その萩の地に在って江戸時代より200年以上続く晴雲山 岡田窯に生まれ、
幼い頃より陶芸に慣れ親しんできた九代目 岡田泰。
伝統ある「萩焼」に自身の感性を溶け込ませ、独自の透明感のある青の表現を開発した。
それが岡田泰の〈淡青釉〉。青は空。青は海。青は宇宙。
繊細に計算された端正な造形に、透明の青が皮膜となって光沢を放つ。
透き通るような青い色は、気品高く、萩焼に全く新しい陶芸の潮流を生み出した。
主張しすぎない上品な風合い。
「萩の新潮」岡田泰の世界がここにある。

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  • images岡田泰 作
    〈淡青釉茶盌〉
  • images岡田泰 作
    〈萩茶盌〉
  • images岡田泰 作
    〈淡青釉鉢〉
  • images岡田泰 作
    〈淡青釉鉢〉
  • images岡田泰 作
    〈淡青釉鉢〉
  • images岡田泰 作
    〈淡青釉鉢〉
  • images晴雲山 岡田窯 八代 岡田裕 作
    〈白萩釉窯変茶盌〉
  • images晴雲山 岡田窯 八代 岡田裕 作
    〈白萩釉窯変雲水指〉
  • images晴雲山 岡田窯 八代 岡田裕 作
    〈炎彩壺〉

「萩の新潮」萩焼、伝統から革新へ ─ 岡田窯 岡田泰展によせて

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「萩焼」の魅力

伝統の萩焼は茶人の間では「一楽二萩三唐津」と賞され、数ある茶陶の中でも深く愛されてきました。この伝統は400年以上の歴史とともに受け継がれ、厳然たる地位を築いています。慶長9年(1604年)、毛利輝元の命により、朝鮮半島から招致した陶工「李勺光(山村家)」「李敬(坂家)」の兄弟が、萩藩の御用窯として開窯し、高麗風の茶陶を制作したことがはじまりと言われています。萩焼の特徴は、焼き上がりの土の柔らかさと吸水性、その感触の素朴さにあります。土があまり焼き締まらないので、陶器としては軽く、保温性を持ち、茶陶としての機能が優れ、多くの茶人に愛されています。また器の表面の貫入は、長年使っていくうちに細かいヒビ模様に茶渋などが浸透して茶碗の趣が変わり、茶人の間では「茶馴れ」や「萩の七化け」といって珍重されています。絵付けは殆どなく、土の配合・釉薬の組み合わせで淡くまろやかな色の変化を楽しめます。
登窯で変化する「白萩」「紅萩」「枇杷(びわ)」は、心地よく独特な色彩を醸し出します。これが萩焼の魅力です。萩焼に使用される萩釉は、萩土と釉薬の藁灰と長石の配合によって味わいが異なるので、作家はこれらの配合を土の性格を考え調合することによって、それぞれの窯秘伝の釉薬としています。

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萩の新潮、「変化する白の世界」淡青釉の誕生

この度、緑ヶ丘美術館では萩焼の新鋭、岡田泰氏の陶芸作品を披露いたします。200年の歴史を継ぐ晴雲山 岡田窯に生まれ、八代の父・岡田裕氏を師匠として陶芸を目指した岡田泰氏は、400年の歴史を持つ萩焼に在って、その特徴である白萩の世界に全く新しい白=淡青釉を創り出しました。「白萩」「紅萩」「枇杷」といった伝統の萩焼に、また一つ淡青釉という白の青が誕生しました。緑ヶ丘美術館では、窯を発展させてきた先人達の技と知恵を踏襲しながら、独自の新しい色と造形、表現を実現させた岡田泰氏の作品展を開催いたします。
岡田泰氏の淡青釉は、「今までの萩と違う作品を作りたい」、「父とは違った作品を作りたい」という強い想いから、長年の釉薬研究と試作、失敗を重ね、そこから生まれました。一見すると青白磁のように見えますが、れっきとした萩土の陶器。柔らかく温かな萩の陶土を淡青釉が優しく包む。白磁にはない温もりが器から伝わってきます。
2009年の日本伝統工芸展に初めてこの淡青釉作品を発表し、初入選しました。今までになかった萩色の出現=淡青釉は審査員を驚かせました。萩に新しい白の青=淡青釉が世に認められた瞬間です。以来、淡青釉のより良き表現のために、現在も精力的に造形、釉薬の配合、焼きの挑戦を続けています。

〈岡田泰展〉のテーマは「萩の新潮」。新しい萩焼に挑戦する岡田泰氏の淡青釉作品から大鉢、花器などを発表いたします。
あなたの知らなかった萩焼「変化する白の世界」に出逢えるはずです。
展示場には、岡田泰氏の師で山口県指定無形文化財萩焼保持者である父・八代 岡田裕氏の作品も並びます。繊細な造形に浮かび上がる陶土の化粧掛け「炎彩」もご覧いただけます。この機会にぜひ岡田窯、現在の萩の潮流を感じてみてください。
今までにはなかった萩焼に出逢えることでしょう。ご堪能いただければ幸いです。

映像で見る「岡田泰の世界」

緑ヶ丘美術館では、「萩の新潮」萩・岡田窯 岡田泰展にあたり、作家の創作を紹介するプロモーション映像を制作しました。
約2年間にわたり創作の現場を取材しました。山口県萩市に幾度も赴き、岡田泰氏の創作の原点となった萩の海や山、四季を通じて変化する萩の風景などを収録。椿や桜が咲き誇る自然豊かな環境も心和ませてくれます。また、陶房で轆轤(ろくろ)に向かう作家の姿や伝承の技、秘伝の釉掛け、窯焚きの様子など、淡青釉作品とともに実録ならではの貴重なシーンをご堪能していただけます。晴雲山 岡田窯は、200年続く登窯。修築を重ね現在でも焚き続けられています。熔けた灰釉がレンガを覆い歴史を感じさせます。これらの映像は美術館で常時上映しておりますので、展示作品と共にご鑑賞ください。
図録制作、映像制作に際し、取材にご協力いただきました皆様方に心より御礼申し上げます。

緑ヶ丘美術館・館長 菅野一夫

ショッピング案内shopping

ここでしか手に入らない緑ヶ丘美術館でのみの限定販売となります

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萩・岡田窯 岡田泰展 図録
販売価格
1冊 2,000円


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一筆箋
販売価格
1冊 300円