「紡ぐ輪舞」佐藤典克 作陶展

幼き日の記憶と手に染み込んだ技が土の上で出会う。
過去と今が響きあう、継がれてゆく輪舞(ろんど)

土を練り、轆轤(ろくろ) を回すその手のひらには、
幼き日の記憶と、積み重ねてきた技が宿っている。

岐阜県羽島市で育ち、
土まみれになりながら野を駆け、繊維業を営む父の背中を見て育った少年時代。
いつの間にか土の匂いは日常となり、その感覚が作陶の原点となった。
やがて東京藝術大学で陶芸を学び、理論や技術を磨く中で、
「自然と人が響き合う感覚」を自身の表現の核として見いだしていった。

学生時代は土物や色化粧を通じて、
素材の手ざわりや焼き上がりの変化に心を惹かれ、
やがて自然の営みと呼応する“土の表現”へと向かっていった。
見て、触れて、感じてきたことのすべてが、
心の奥で静かに積み重なり、やがてかたちとなって現れてくる。

佐藤典克は語る。
「変化しているように見えるかもしれない。でも、すべて私なのです。」
白磁の静寂、金彩の煌めき、鉄釉の重厚 ──
異なる表情をもつ作品たちは、一本の糸で結ばれている。
それは、作家自身の記憶という名の糸。

自然と対話し、素材と呼吸を合わせるように形を探るその姿勢は、
これからも続いていく、終わりなき舞曲・輪舞(ろんど)のように。

今回の撮影の舞台は、作家が育った羽島市。
原風景の地で捉えられた写真は、作品の背景にある
『暮らしと自然』の息づかいを伝えてくれる。

本展では、時を重ねながら変化してきた作品群が並びます。
それらすべては、作家の深い精神性と創造の軌跡から生まれた、ひとつの連なりです。

どうぞご高覧ください。
記憶と技が織りなす、陶の輪舞(ろんど)を。

  • images縒器 灯H46.0 × Φ45.0 cm
  • images縒舟第60回 日本伝統工芸展 入選
    H19.5 × W49.0 × D48.0 cm
  • images縒舟 凪H29.5 × W47.1 × D43.7 cm
  • images(左)縒鶴/(右)縒プラチナ箔巧彩蓋付器 スプラッシュH28.5 × W17.0 × D18.4 cm/H30.3 × Φ15.2 cm
  • images縒青磁金プラチナ箔巧彩壺H30.0 × Φ27.1 cm
  • images縒赫磁金プラチナ箔巧彩壺H37.9 × Φ26.8 cm
  • images青磁金プラチナ箔巧彩飾壺/赤磁金プラチナ箔巧彩飾壺H24.5 × Φ14.7 cm/H22.0 × Φ16.4 cm
    大槻洋介(硝子)
  • images(左)赫磁金プラチナ箔巧彩花入/(右)青磁金プラチナ箔巧彩花入H8.0 × W28.4 × D6.1 cm/H8.2 × W28.0 × D5.6 cm

芸術の原風景と出会う「紡ぐ輪舞」佐藤典克 作陶展

形づくりは常に原点との対話だった

佐藤氏は、土地の風土や自然へのまなざしを、形や素材選び、そして制作の一つひとつの動作に反映させています。その姿勢が、作品に一貫した深みと温かみを与えています。たとえば「糸を縒る」ような繊細な手の動きの中には、時間の流れや素材の記憶が脈をうっていて、見る人は美しい器を超えた豊かな感情を感じ取ることができます。
佐藤氏にとって「土」や「自然」は、創作の原点であり、心の拠りどころです。思い通りにならない素材と向き合いながら、偶然の美や、かすかな生命の気配を見いだそうとする姿勢が、作品を通して伝わる佐藤氏の芸術の神髄といえます。
東京藝術大学で陶芸を学ぶ中で、理論や技術を磨きながらも、佐藤氏の心には「自分は何を拠りどころに表現していくのか」という問いが芽生えました。その探究の果てに見えてきたのは、自然と人が響き合う生きた感覚です。風が土を乾かし、炎が器を焼き上げ、光がその肌を照らす、そうした自然の営みとともに、自身の「原点」と向き合ってきました。
また、中国・龍泉窯での復元的焼成の経験は、佐藤氏の制作姿勢をさらに深めました。伝統技法の再現とは、過去をなぞることではなく、素材や気候、炎の癖を読み取り、当時の作り手たちの感覚を追体験することでもあります。器という存在を通じて、人・時・自然が交わる、その営みが、佐藤氏にとっての「工芸の原風景」となっています。
近年は、自分にしか作れないものとは何かを問い続け、伝統を受け継ぎながらも個としての表現を模索しています。風の音、光のぬくもり、土の質感、そうした自然の記憶が、作品の形を導き、人と自然をつなぐ器を生み出しています。
本展では、白磁の静けさ、金彩の輝き、鉄釉の重厚さなど、多様な表情をもつ作品が展示されます。どの作品にも、佐藤氏の感性と経験が織りなすひとつの風景が広がっています。
撮影の舞台には、作家ゆかりの地である岐阜県羽島市の風景を選びました。作品の背景にある「自然と暮らし」の息づかいを感じていただければ幸いです。
最後に、本展の開催にあたりご協力を賜りました岐阜県羽島市の皆様、並びに羽島市役所の方々に心より感謝申し上げます。
どうぞ、佐藤典克氏の創作世界が紡ぐ静かな調べをご高覧ください。

緑ヶ丘美術館 館⻑ 菅野一夫

ショッピング案内shopping

緑ヶ丘美術館でのみの限定販売となります

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<数量限定>一筆箋 30枚綴り 2種
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各 500円


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<数量限定>レターセット 封筒3枚・便箋10枚組 3種
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各 1,000円