山口県北西部、長門湯本温泉にほど近い三之瀬の地で育まれたもう一つの萩焼「深川萩」。田原崇雄は、その深川萩五窯の田原陶兵衛工房で創作を行っている。
古窯跡に残された古い陶片からヒントを得て出来上がった「流白釉」の器。伝統的な土と釉薬を活かしながら独自の造形に昇華させた「纏景の器」。
四百二十年に渡る萩焼のなかで守られてきた技術を注ぎ込んだ茶碗。それら全てが確固たる存在感を示しながら、見る者に萩焼の歴史と未来を語りかけてくる。
萩焼独特の白土を用いた表現法や藁白の釉。
そうした白き流れを汲み、展開させた新しい形。
田原崇雄が生み出す萩焼の伝統と革新の形を、どうぞご高覧ください。
「一楽、二萩、三唐津」と言われるように、茶陶として発展を遂げてきた萩焼。萩焼には、萩市一帯で育まれてきた松本萩と、長門湯本温泉にほど近い三之瀬(そうのせ)の地で育まれてきた深川萩(ふかわはぎ)があります。
深川萩を代表する五窯のひとつ、田原陶兵衛窯に生を受けた田原崇雄先生は、精力的に創作を行う気鋭の陶芸家です。家業として茶陶づくりに取り組みながら、新たな表現を追求した意欲的な作品を生み出しておられます。
そんな田原崇雄先生の現在の代名詞と言えるのが「流白釉(りゅうはくゆう)」。これは伝統的な萩焼で用いる藁灰釉をベースにしながら古い陶片の釉調を参考にして新しく考え出した独自の釉薬表現です。藁灰釉と松灰釉を重ね掛けすることで、独特の深みのある緑色に仕上がります。従来の萩焼とは少々趣が異なるものの、萩焼がその歴史の中で大切にしてきた白、「白釉の流れ」を確かに汲む新しい萩焼に他なりません。
田原崇雄先生ならではといえば、他にも「纏景(てんけい)の器」と称される一連の作品があります。こちらは萩焼ならではの土と釉薬の味わいを大切にしながら独自の造形に昇華したもの。建築物の構造やその工事の足場や骨組みを見て着想を得たという一連の作品は、学生時代にあえて彫刻科に進み、造形について幅広く学ぶことを選んだという経験が活きたものと言えるでしょう。
萩焼を愛し、魅力を誰よりも身近に知るからこそ、独自の表現方法を編み出し組み入れて前進する田原崇雄先生。歴史深い萩焼の白き流れの中で磨かれた新しい作品世界を、どうぞお楽しみください。
緑ヶ丘美術館 館⻑ 菅野⼀夫
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