緑ヶ丘美術館・本館
緑ヶ丘美術館・別館
古来、シルクロードの要衝として栄えたウズベキスタン共和国の古都サマルカンド。
澄み切った⻘い空とゆったりと流れる時の移ろい、緩やかにまどろむ⼈々の営みには遠い⽇の憧憬が甦る。
世界⼀美しいと称されたサマルカンドの「⻘」に惹かれ、九⾕焼で再現した武腰⼀憲。
サマルカンドを訪れた時の感動の衝撃がひとりの陶芸家の感性を突き動かした。
光は⽉からしか来ない、 サマルカンドの⻘い夜。
⽉と影が武腰の作品に命を与えた。
武腰⼀憲は、九⾕の伝統を継承しながら古九⾕⾵とは異なる作⾵として、九⾕「サマルカンドブルー」を創⽣し、独⾃の作品を⽣み出した。
緑ヶ丘美術館でシルクロードの郷愁を是⾮ともご堪能くださいませ。
緑ヶ丘美術館では開館以来、約370年の歴史を持つ九⾕焼に在る、多くの陶芸家の先⽣⽅を紹介させていただいております。九⾕では、伝統的な⾚絵や上絵付け、⾦襴⼿の他、現代では芸術の要素を取り⼊れた斬新なデザインが⽣み出されています。そんな中、この度は、名⾨古窯に⽣まれながら現代九⾕に挑戦する五代善平こと武腰⼀憲⽒の作品展を開催いたします。
武腰⽒は、シルクロードにあるサマルカンドを訪れて以来、その空と街並みの⻘⾊に惹かれ、独⾃の⻘⾊を⾒事に九⾕焼に昇華した⾊絵陶芸家です。中央アジアのエキゾチックな⾵情をモチーフとした描画と絢爛な⾊彩は、伝統九⾕の特徴を⽣かしながら⽒独⾃の表現⼒でモダンで個性的な作品になっています。九⾕の多様性を感じていただけることと思います。
武腰⼀憲⽒は、⽯川県能美市寺井町にある九⾕庄三洞善平窯(くたにしょうざどうぜんべいがま)の四代 善平(武腰昭⼀郎)の⻑男として⽣まれた五代⽬。この窯名に九⾕庄三を冠するのは、善平窯初代の武腰善平が、約370年の歴史を持つ古九⾕から再興九⾕に甚⼤な功績を残した九⾕焼中興の祖といわれる九⾕庄三の義弟であり、⾼弟であったことに由来するものです。
「洞」とは、中世⽇本の武家に存在した⼀族と傘下の⼩領主を糾合した共同体を意味することから、初代 善平がいかに九⾕庄三の相伝を受けていたかが解ります。江⼾末期から明治にかけて活躍した初代 善平の筆⼒は、庄三を超える技能をもった絵付の画⼯として筆頭に上がるほどの技能者だったのです。⼆代、三代も共に伝統九⾕の名⼯で、宮家お買上げの栄に浴したり、技術保存の指定を受けるなど、九⾕焼を牽引してきました。四代は、モダンな作⾵で知られる⽇展評議員の北出塔⼆郎⽒に師事、⽇展など現代⼯芸の分野で数々の受賞を得ています。そして五代善平(⼀憲⽒)は、先代を踏襲しながら、今までの九⾕にはない発想と表現で「遠い⽇シリーズ」を発表するなど、数多くの展覧会で受賞歴を誇り、新しい伝統九⾕に君臨されています。
武腰家には今も先代の下絵が残されていて、取材の時に拝⾒させていただきました。薄い和紙に描かれた墨絵。その絵の⽣命⼒は⽣き⽣きとして息づかいが聞こえてくるような武者絵や今にも⾶び⽴ちそうな⼩⿃など、いずれも超絶の画⼒に驚かされました。産業九⾕と称される時代に海外でも⾼い評価を得、《JAPAN KUTANI》を牽引してきた先代の時代が甦ります。
このように、武腰家は九⾕焼の名⾨で、伝統を重んじ卓越した技量と表現⼒で九⾕の歴史を作ってきました。代々の下絵や技法、開発した釉薬の⼀つずつが窯元の家宝です。そして、それもまた現在の⼀憲⽒に受け継がれているのです。
陶芸家としての表現者の⽣き⽅にもしばし想いを馳せてみてください。⼀味違う作品の魅⼒が⾒えてくると思います。
緑ヶ丘美術館 館⻑ 菅野⼀夫
緑ヶ丘美術館でのみの限定販売となります
<数量限定>一筆箋 30枚綴り 2種
販売価格
各 500円
<数量限定>レターセット 封筒3枚・便箋10枚組 3種
販売価格
各 1,000円