色絵九谷「蒼天の記憶」武腰 一憲 展

この度の緑ヶ丘美術館・本館の【まほろば陶 「-潮騒が聞こえる-」樋口邦春 展】と
緑ヶ丘美術館・別館の【「蒼天の記憶」色絵九谷 武腰一憲 展】は9月10日(日)をもって終了いたしました。
ご来館の皆様には新型コロナウイルス感染拡大防止にご協力いただき、ありがとうございました。
9月11日(月)から9月22日(金)までは次回作品展準備のため休館とさせていただきます。

次回の展覧会は9月23日(土)~12月24日(日)までの会期で
【〈痕跡の美〉丹波 今西公彦 展】を本館で、
【初代生誕150年 德田八十吉 歴代展】を別館で開催いたします。
引き続き感染拡大防止にご協力いただきまして、
皆様のご来館をお待ちしております。

緑ヶ丘美術館・本館
緑ヶ丘美術館・別館

シルクロードの⼼象⾵景
九⾕「サマルカンドブルー」

古来、シルクロードの要衝として栄えたウズベキスタン共和国の古都サマルカンド。
澄み切った⻘い空とゆったりと流れる時の移ろい、緩やかにまどろむ⼈々の営みには遠い⽇の憧憬が甦る。
世界⼀美しいと称されたサマルカンドの「⻘」に惹かれ、九⾕焼で再現した武腰⼀憲。
サマルカンドを訪れた時の感動の衝撃がひとりの陶芸家の感性を突き動かした。
光は⽉からしか来ない、 サマルカンドの⻘い夜。
⽉と影が武腰の作品に命を与えた。
武腰⼀憲は、九⾕の伝統を継承しながら古九⾕⾵とは異なる作⾵として、九⾕「サマルカンドブルー」を創⽣し、独⾃の作品を⽣み出した。
緑ヶ丘美術館でシルクロードの郷愁を是⾮ともご堪能くださいませ。

  • ⾊絵遠い⽇花器 家路
  • ⾊絵遠い⽇花器 記憶
  • ⾊絵遠い⽇花器 ⽉輪の器
  • images色絵遠い日花器揃 悠日・麗日悠日(男)H37.3 × W14.0 × D14.0 cm
    麗日(女)H37.3 × W14.0 × D14.0 cm
    2022年制作
  • images色絵遠い日花器 月の器・遥奏H63.0 × W56.0 × D51.0 cm
    2021年制作:日展出品作品
  • images色絵遠い日花器 記憶H31.0 × W76.0 × D14.0 cm
    2002年制作:日展出品作品
  • images色絵遠い日花器 往くH33.0 × W64.0 × D13.0 cm
    2005年制作:日展出品作品
  • images色絵遠い日花器 午後の花器H22.0 × W67.0 × D43.0 cm
    2007年制作:日展出品作品
  • images色絵遠い日花器 月輪の器H59.0 × W41.0 × D26.0 cm
    2014年制作:第53回日本現代工芸美術展 文部科学大臣賞受賞作品
  • images色絵遠い日飾皿 家路Φ 30.3 × H6.9 cm
    2017年制作

芸術の原風景と出会う⾊絵九⾕「蒼天の記憶」
武腰 ⼀憲 展によせて

九⾕に在って独⾃性を追う

緑ヶ丘美術館では開館以来、約370年の歴史を持つ九⾕焼に在る、多くの陶芸家の先⽣⽅を紹介させていただいております。九⾕では、伝統的な⾚絵や上絵付け、⾦襴⼿の他、現代では芸術の要素を取り⼊れた斬新なデザインが⽣み出されています。そんな中、この度は、名⾨古窯に⽣まれながら現代九⾕に挑戦する五代善平こと武腰⼀憲⽒の作品展を開催いたします。
武腰⽒は、シルクロードにあるサマルカンドを訪れて以来、その空と街並みの⻘⾊に惹かれ、独⾃の⻘⾊を⾒事に九⾕焼に昇華した⾊絵陶芸家です。中央アジアのエキゾチックな⾵情をモチーフとした描画と絢爛な⾊彩は、伝統九⾕の特徴を⽣かしながら⽒独⾃の表現⼒でモダンで個性的な作品になっています。九⾕の多様性を感じていただけることと思います。

名⾨、九⾕庄三洞善平窯の五代⽬として

武腰⼀憲⽒は、⽯川県能美市寺井町にある九⾕庄三洞善平窯(くたにしょうざどうぜんべいがま)の四代 善平(武腰昭⼀郎)の⻑男として⽣まれた五代⽬。この窯名に九⾕庄三を冠するのは、善平窯初代の武腰善平が、約370年の歴史を持つ古九⾕から再興九⾕に甚⼤な功績を残した九⾕焼中興の祖といわれる九⾕庄三の義弟であり、⾼弟であったことに由来するものです。
「洞」とは、中世⽇本の武家に存在した⼀族と傘下の⼩領主を糾合した共同体を意味することから、初代 善平がいかに九⾕庄三の相伝を受けていたかが解ります。江⼾末期から明治にかけて活躍した初代 善平の筆⼒は、庄三を超える技能をもった絵付の画⼯として筆頭に上がるほどの技能者だったのです。⼆代、三代も共に伝統九⾕の名⼯で、宮家お買上げの栄に浴したり、技術保存の指定を受けるなど、九⾕焼を牽引してきました。四代は、モダンな作⾵で知られる⽇展評議員の北出塔⼆郎⽒に師事、⽇展など現代⼯芸の分野で数々の受賞を得ています。そして五代善平(⼀憲⽒)は、先代を踏襲しながら、今までの九⾕にはない発想と表現で「遠い⽇シリーズ」を発表するなど、数多くの展覧会で受賞歴を誇り、新しい伝統九⾕に君臨されています。

先代の残した下絵が家宝に

武腰家には今も先代の下絵が残されていて、取材の時に拝⾒させていただきました。薄い和紙に描かれた墨絵。その絵の⽣命⼒は⽣き⽣きとして息づかいが聞こえてくるような武者絵や今にも⾶び⽴ちそうな⼩⿃など、いずれも超絶の画⼒に驚かされました。産業九⾕と称される時代に海外でも⾼い評価を得、《JAPAN KUTANI》を牽引してきた先代の時代が甦ります。
このように、武腰家は九⾕焼の名⾨で、伝統を重んじ卓越した技量と表現⼒で九⾕の歴史を作ってきました。代々の下絵や技法、開発した釉薬の⼀つずつが窯元の家宝です。そして、それもまた現在の⼀憲⽒に受け継がれているのです。
陶芸家としての表現者の⽣き⽅にもしばし想いを馳せてみてください。⼀味違う作品の魅⼒が⾒えてくると思います。

緑ヶ丘美術館 館⻑ 菅野⼀夫

ショッピング案内shopping

緑ヶ丘美術館でのみの限定販売となります

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<数量限定>一筆箋 30枚綴り 2種
販売価格
各 500円


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<数量限定>レターセット 封筒3枚・便箋10枚組 3種
販売価格
各 1,000円