緑ヶ丘美術館・本館
緑ヶ丘美術館・別館
加賀百万石の⾼度で豊かな文化が⽣んだ九谷焼。創始から約370年。
脈々とその彩りと技能を引き継ぎ発展させてきた陶の名工たちがいる。
古九⾕を再現した上絵付の名人・初代 德田八十吉、伝統技法を⾰新した⼆代、彩釉磁器で⼈間国宝となった三代、三代の耀彩に赤の表現で彩釉の新境地を拓く四代。
この度、緑ヶ丘美術館では初代 德田八十吉生誕150年を記念して古九⾕の再現に尽⼒した初代を中⼼に歴代四⼈の德田八十吉が表現した九⾕をご紹介いたします。八十吉陶房に伝わる「自分だけの九谷」に挑戦した名工たちの作品をご覧ください。
吉⽥屋写⼋⾓菓⼦鉢
⻘⼿⾊絵松鶴図九⾓飾⽫
⻘⼿古九⾕吉⽥屋⾵飾⽫
彩釉壷瑞穂
〈德田八十吉展〉は、2019年9月に緑ヶ丘美術館で〈三代 德田八十吉展〉を開催以来2回目の企画展です。
2019年開催は、九谷焼に全く新しい陶芸様式「耀彩」を確立した三代 德田八十吉先生の作品展を開催し、会期中、多くの来館者から大変好評を博しました。この度企画しました〈德田八十吉歴代展〉は、初代 德田八十吉・生誕150年の節目に、前回の三代 德田八十吉展とは展覧会の視点を変えて、古九谷再興から德田家歴代の九谷焼の変遷と魅力を知っていただくために開催することとなりました。
江戸期に一旦中断した九谷焼が、時を経て再興する流れとともに、蘇った九谷焼作陶家たちの姿が、それぞれの時代の作品に映し出されています。特に德田家においては、初代から現在の四代に至るまで、各々独自の表現を追求し、九谷焼の伝統を継承しつつ大胆に新しい表現に挑む姿は、他に類を見ない家柄と言えるでしょう。
特に初代は、明治6年に染物屋の長男として誕生以来、20歳で独立するまでは絵画の勉強に熱心であったことが記録されています。14歳で貿易九谷の絵付けを手掛け、15歳で狩野探令から絵画を、17歳では松本佐平に陶画を学んでいます。32歳の時には日本画家・山本永暉に師事し、後に山本永暉、松本佐平、両師より「公暉」の画号を享けています。この「公暉」の銘は、古九谷の「角福」銘から、「作家」の銘を入れるきっかけとなり、個性を隠した時代から作家の存在を示すことに寄与しました。また絵画を学び続けてきた初代は、九谷の基本となる色絵の表現に厳しかったことが伺えます。
初代は80歳で「上絵付(九谷)」の分野で助成の措置を講ずべき国の無形文化財に選定されており、二代は68歳で石川県指定無形文化財に認定、三代もまた63歳の時に国の重要無形文化財「彩釉磁器」保持者(人間国宝)に認定されています。現在は、三代の長女・順子氏が四代德田八十吉を襲名、父が残した「彩釉」を進化させ独自の表現で新境地を拓き注目されています。
「自分だけの九谷」を理念として探求してきた四人の德田八十吉。それぞれの作品に潜む歴史を味わいながらご覧いただけましたら幸いです。
緑ヶ丘美術館 館⻑ 菅野⼀夫
緑ヶ丘美術館でのみの限定販売となります
<数量限定>一筆箋 30枚綴り 2種
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各 500円
<数量限定>レターセット 封筒3枚・便箋10枚組 3種
販売価格
各 1,000円