緑ヶ丘美術館・本館
緑ヶ丘美術館・別館
オブジェと茶盌、現代アートと伝統工芸。
山田 和の作品は、双方の枠を軽々と凌駕する圧倒的な存在感を放つ。
目と心に留まった古道具や廃物に人形や器を組み合わせ、独特の世界観を醸し出すアッサンブラージュ。時計の中、カメラの横から視線を投げてくる、可愛らしく、ちょっと不気味な人形たち。ある者は笑い、ある者は驚きの表情を浮かべて見る人に何事かを語りかける。
まるで「置き忘れた記憶のカケラを呼び起こしてあげるよ」とでも言うように。
一方で、別人の手かと思える器がある。
若かりし頃に加藤唐九郎のもとで培った器づくり、志野茶盌を焼く確固たる技術。鉄分を多く含む越前の陶土の特性を生かしつつ、自らの個性と自由な発想を組み合わせて生み出した炎舞志野や赫釉織部。
これらすべてが「山田 和の世界」だ。
また今回は、この場でしか見られない最新のアッサンブラージュ作品も展示。
「山田 和の現在」を知る貴重な機会となっている。
ジャンルの垣根を飛び越えた無二の作品たちを、どうぞご高覧ください。
比類がない、とは山田 和先生のような方を表す言葉なのでしょう。
現代アートと伝統工芸。そのどちらにも属し、同時にどちらも凌駕していく圧倒的な個性を放つ稀有な作家、それが「山田 和」であると私は思います。
若かりし頃に師事した加藤唐九郎という巨星。偉大な師のもとで培った器づくり、志野茶盌を焼く確固たる技術。
あまりにも大きな存在であった加藤唐九郎とその影響は、山田 和先生の作家人生を半ば方向づけるものでありました。そこから脱皮し踏み出すための葛藤と模索はやがて、炎舞志野や赫釉織部という新しい器のかたちを生み出す原動力になっていきます。
器の世界で独創性を発揮し、新しいものを生み出してもなお燻り続けていた創造への炎を解き放ったのは、50代も半ばになってから。きっかけは、間近でその葛藤を見守り続けた夫人の「人形でもつくったら」というひと言でした。実は、加藤唐九郎と出会う前にはオブジェや人形をつくっており、それを知る夫人のアドバイスは、先生の背中を押すものだったのです。
そうして生まれたのが、あらゆるものの垣根を飛び越えた立体コラージュ、アッサンブラージュです。アンティークや廃品、人形や焼物を組み合わせてつくられる独特の世界。
愛嬌と面白さ、微かに漂う得体の知れなさと不気味さ。
物の持つ記憶や作家本人の記憶、見る者の記憶が響き合うとき、そこには不思議な懐かしさが生まれます。誰もが心の引き出しにしまい込んでいるノスタルジーが、お伽噺のように光と影を持ってその姿を表すのです。
そうした独特の世界を生み出す山田 和先生は、実に自由です。ただ心のままに制作を続けておられます。そもそも、越前という地で志野を焼いていたことも、その志野が昔の再現ではなく「山田 和による自由律」とでも言うべき作品であったのも、今の姿につながっているのかもしれません。
とどまるところを知らない「山田 和の世界」。オブジェと茶盌、現代アートと伝統工芸の垣根を超えた、えも言われぬ存在感をどうぞご堪能ください。
緑ヶ丘美術館 館⻑ 菅野⼀夫
緑ヶ丘美術館でのみの限定販売となります
<数量限定>一筆箋 30枚綴り 2種
販売価格
各 500円
<数量限定>レターセット 封筒3枚・便箋10枚組 3種
販売価格
各 1,000円