移りゆく四季を見つめ、山野草や野鳥を写実的に描くことで知られる九谷焼作家・山田義明。伝統の九谷五彩を発展させ生み出した瑞々しく美しい色彩と、確かなデッサン力を活かして完成される絵付けがその作品の醍醐味だ。
今回はその色絵を、料理を盛る器の上に展開。トラディショナルな九谷の美を現代的かつスタイリッシュなテーブルウェアとして見せようという意欲作が並ぶ。
従来の、作品全面を一つの絵画とみなしたような完成された「飾るための器」と、料理のためにあるいわば「名脇役としてのテーブルウェア」。ややもすると相性が良くないようにも思えるが、元来山田義明の作風は、九谷の五彩で絵を描きつつ“余白の美”を活かして完成させる絵付けが魅力の多くを担っている。その色絵の特性を活かしつつ、あくまでも料理を盛る器として展開したのが今回の作品群だ。
現代的でスタイリッシュな、和にも洋にも引き立つ、新しい色絵テーブルウェアの形。山田義明による「MODERN KUTANI」 の世界を、どうぞご高覧ください。
上から、パイナップルセージ図 輪花皿 / ナスタチューム図 輪花皿
ブルーセージ図 輪花皿 / ラベンダー図 輪花皿
左から、野葡萄に鵙図 フリーカップ / 薊図 フリーカップ
花水木図 フリーカップ / 枯れ蓮に翡翠図 フリーカップ
団子魚図(紫・⻩・赤)馬上杯(皿付)
手前から、片栗図 ⻑皿 / 春の野芥子図 ⻑皿
秋海棠図 ⻑皿
日本の四季を愛し、山野草や野鳥の姿を写実的に描くことで知られる九谷焼作家・山田義明先生。伝統の九谷五彩を発展させ生み出した中間色を駆使し描かれる瑞々しい色絵と、写実を基本に余白の美を活かして構成される絶妙な構図がその作品の魅力です。
数々の名品を世に送り出してこられた山田先生が、今回取り組んでおられるのは、料理を盛りつける器。それも、昔から馴染みの深い和食だけでなく、パスタやサラダといった洋風のメニューにも馴染むモダンな洋食器です。客人へのもてなしに、特別な日のディナーに、老若男女を問わず楽しむことが出来る数々のテーブルウェア。山田先生にとってもそれは、新しい世界だったはずです。
九谷の飾り皿や花器などは、五彩を使って作品全面に絵を描くことが多く、それ単体で、まるで絵画のように作品として成立するというイメージがあります。
一方で、テーブルウェア、特に洋食器の場合は、主役たる料理を見せるための舞台装置として成り立っている側面があります。一見、相容れぬようにも思えますが、山田先生はもともと空間を大切にして絵を描いてこられた作家です。飾るための器から料理を盛りつけるためのテーブルウェアに変わった時に、絶妙な相性の良さ、バランスの良さが生まれました。華やかな九谷の色絵が、主役である料理と響き合うよう計算された余白の妙。テーブルにセッティングされた時、その食卓は一段と華やぎを増していきます。
トラディショナルな九谷の美を現代的かつスタイリッシュなテーブルウェアに。
それは、非常に意欲的な、和にも洋にも寄り添える、現代の九谷の形でもあります。
もてなしのUTSUWA、山田義明によるMODERN KUTANIの世界を、どうぞお楽しみください。
緑ヶ丘美術館 館⻑ 菅野⼀夫
緑ヶ丘美術館でのみの限定販売となります
<数量限定>一筆箋 30枚綴り 2種
販売価格
各 500円
<数量限定>レターセット 封筒3枚・便箋10枚組 3種
販売価格
各 1,000円